起立性調節障害の回復の差について

なぜあの子はすぐ良くなったの?
起立性調節障害 ― 治りやすい子と治りにくい子の違い

こんにちは。大阪市旭区にある新森桂整体院の桂 寛章(かつら ひろあき)です。
今回は、起立性調節障害について、「回復の早い子と、そうでない子の違い」というテーマでお話しします。
「同じような症状でも、なぜうちの子はなかなか良くならないの?」
そんなふうに悩んでおられるご家族は少なくありません。

実際、起立性調節障害は**“個人差”がとても大きい症状です。
一方で、整体の現場でたくさんのお子さんを見てきた結果、「治りやすい傾向」や「回復が長引きやすいパターン」**には、ある程度の共通点があると感じています。
それは、特別な治療や薬だけの問題ではありません。
むしろ、日々の生活リズム・身体の状態・心のもち方といった、“ちょっとした違い”の積み重ねが大きな差となって現れているように思います。

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治りやすい子の特徴5つ

まずは、私が実際に見てきた中で「この子は良くなるのが早いな」と感じたお子さんたちに共通していた特徴を5つご紹介します。

① 夜ふかしをしない・生活リズムを整えようとしている
夜のスマホやゲームを控え、早く寝る努力をしている子は、やはり改善が早いです。
もちろん「完璧に早寝早起き」ではありません。
でも「少しでも整えよう」という気持ちのある子は、回復の流れに乗りやすい印象です。

② 日中に光を浴びて、軽くでも身体を動かしている
太陽の光を浴びることは、自律神経や体内時計に大きく影響します。
寝たまま暗い部屋で過ごしている時間が長いと、回復も遠のきます。
散歩やストレッチ、外の空気を吸うだけでもプラスになります。

③ 水分や塩分をしっかり摂っている
起立性調節障害の多くは、血流や循環の問題と関係しています。
特に朝は身体が脱水ぎみになっていることも。
こまめな水分補給や、少しの塩分補給は身体を整える大事なポイントです。

④ 少しでもできたことを、本人も周囲も認めている
「今日は5分だけ起きれたね」「朝ごはんがんばったね」といった“できたこと”に目を向ける家庭では、
お子さんの自己肯定感が保たれやすく、前向きな変化につながりやすいです。

⑤ 焦りすぎない・「今できること」に意識を向けている
「早く治さなきゃ」「学校に行かなきゃ」と焦る気持ちも分かります。
でも焦りが強すぎると、身体も緊張し、自律神経の乱れが悪化しやすくなります。
リラックスできる時間も大切です。

治りにくくなる要因とは?

起立性調節障害の回復がゆっくりになるお子さんには、いくつかの共通する傾向が見られます。
以下に、整体の現場でよく感じる“つまずきやすいポイント”をご紹介します。

● 食事の偏り(甘いもの・小麦が中心)
菓子パンやジュース、パスタ、スナック菓子など、糖質や小麦中心の食生活は、血糖値の乱高下や腸の不調を招きやすく、身体のだるさが取れにくくなります。
また、エナジードリンクも注意が必要です。カフェインと砂糖の組み合わせは、自律神経の乱れをさらに悪化させることがあります。

● 「何もしない時間」に罪悪感を感じている(親子ともに)
「このままでいいの?」「何かしなきゃ」と、休んでいること自体に不安や焦りを感じていると、身体も緊張し、回復の妨げになります。
“何もしない時間”も大事な治癒のプロセスと受け止められるかどうかが、回復の流れに大きく関わってきます。

● 身体の冷えが強い(夏でも足先が冷たいなど)
足先が冷たかったり、触れるとお腹が冷えていたりするお子さんは、自律神経の働きが低下している可能性があります。
身体がしっかり温まることで、血流や内臓の働きも整いやすくなり、朝の目覚めやすさにもつながります。

● 「このまま一生治らないのでは…」という強い不安や焦り
将来のことを考えるあまり、「このまま学校に行けなかったらどうしよう」と不安が大きくなりすぎてしまうと、身体がリラックスできず、睡眠や食欲にも影響が出やすくなります。
焦らず「今日どう過ごすか」「少しでも楽だった時間はあったか」を一緒に見つけていくことが大切です。

● 本人の意思より、親の主導で動いてきた傾向が強い
少し難しい話になりますが、今まで「こうしなさい」「これをやりなさい」と、親御さんが決めたことに従ってきたお子さんの場合、いざ“自分の力で立て直す”という場面になると、「どうやっていいかが分からない」ことがあります。
たとえば、何かに取り組む前から「自分にはムリ」と思ってしまったり、
自分でハードルを越える前に気持ちが折れてしまい、「また周囲がなんとかしてくれるだろう…」と、どこか他人任せになってしまうこともあります。
その結果、回復に向かうきっかけがなかなかつかめず、足踏み状態が続いてしまうことがあるのです。
だからこそ、焦らずに「本人が自分で選ぶ・決める」場面を、少しずつでも増やしていくことが大切です。
自分で小さな成功体験を積むことで、「やれば変わるんだ」と感じられるようになり、徐々に回復の流れに乗っていけるようになります。

整体的に見る「回復のポイント」

● 姿勢の悪さ
起立性調節障害のお子さんに多く見られるのが、猫背や巻き肩などの姿勢の崩れです。
こうした姿勢になると、胸が閉じてしまい、呼吸が浅くなる傾向があります。
呼吸が浅くなると、身体に十分な酸素が届かず、脳や自律神経の働きに悪影響が出やすくなります。
また、浅い呼吸は緊張状態(交感神経が優位な状態)を長引かせ、身体がリラックスしづらくなります。

さらに、座っているときの姿勢の崩れにも注意が必要です。
姿勢が悪いと、骨盤や背骨のバランスがくずれます。
背骨の周囲は自律神経が通る大切な場所なので、ここに負担がかかると自律神経の働きも乱れやすくなります。

整体では、こうした姿勢の乱れを整え、呼吸が深くできる身体の土台づくりを大切にしています。
自律神経が安定しやすい状態をつくることで、起立性調節障害の回復をサポートします。

親御さんができるサポートとは?

お子さんを支えるうえで大切なのは、「良くなる力を信じて、待ってあげること」だと思います。
「何かをやらせる」ではなく、「一緒にやってみようか」というスタンス。
できなかったことより、「今日はここまでできたね」を見つけてあげる。
周囲の声や病名より、「今、この子がどう感じているか」に意識を向ける。
そんなサポートが、回復への大事な後押しになります。

家庭でのケアの工夫については、以下の記事をお読みください。

▶ [家庭でできる!起立性調節障害の4つのケア]https://www.seikotsu.com/news/%e5%ae%b6%e5%ba%ad%e3%81%a7%e3%81%a7%e3%81%8d%e3%82%8b%ef%bc%81%e8%b5%b7%e7%ab%8b%e6%80%a7%e8%aa%bf%e7%af%80%e9%9a%9c%e5%ae%b3%e3%81%ae4%e3%81%a4%e3%81%ae%e3%82%b1%e3%82%a2

まとめ

起立性調節障害は、焦れば焦るほど、回復が遠のくことがあります。
早く良くなったお子さんと比べるのではなく、その子に合ったペースで、一歩ずつ進んでいくことが大切です。

整体では、ご家庭では手が届かない「姿勢からくる自律神経への影響」をサポートしていきます。
もし、お子さんの姿勢の悪さなどを感じたら、ぜひ一度ご相談ください。

新森桂整体院では、これまで多くの起立性調節障害のお子さんに関わってきました。
ご本人もご家族も、無理なく前に進めるようなお手伝いができればと思っております。

最後までお読みくださり、ありがとうございました。
(監修:鍼灸学士・柔道整復師 桂 寛章)