斜角筋症候群を治すのに大事な事

首や肩が凝る

腕がしびれたり痛んだり、手や指先が冷たく感じる

こんな症状でお困りなら、斜角筋症候群かもしれません。

日々の生活や仕事で知らず知らずのうちに首や肩に負担をかけ、気づいたときには上記のような症状が出ていたこんな方も多いのではないでしょうか。

そこで今回のブログでは、斜角筋症候群について書いてみました。

斜角筋症候群とは

斜角筋症候群は、首の筋肉(斜角筋)が、神経や血管(腕神経叢や鎖骨下動脈)を圧迫することで起こる症状です。この症候群は胸郭出口症候群の一種で、肩から腕や手のしびれ、痛み、だるさ、血行不良などを引き起こします

また、斜角筋症候群の症状に悩まされると、つい斜角筋を厄介者のように考えてしまいがちですが、実は斜角筋は私たちの体にとって非常に重要な役割を果たしている筋肉です。

斜角筋の重要な働き
  1. 頚椎の動きをサポート:斜角筋は首を前に倒したり(前屈)、横に傾けたり(側屈)する動きを可能にします。日常生活での首の自由な動きに斜角筋は大事な役目を果たしています。
  2. 呼吸補助筋としての役割:斜角筋は呼吸時に肋骨を引き上げる働きがあり、深い呼吸をする際に重要な役割を果たします。特に激しい運動時や深呼吸が必要な場面で、その重要性が増します。
  3. 頚椎の安定性維持:斜角筋は頚椎の姿勢を保つ筋肉でもあり、首の安定性を維持する上で欠かせません。
  4. 顔の向きの調整:斜角筋は顔を反対側に向ける(振り向く)動きにも関与しており、視線の調整にも重要な筋肉です。

これらの働きを考えると、斜角筋は私たちの日常生活に欠かせない筋肉であることがわかります。適切なケアをすることで、この重要な筋肉の機能を回復させることが大切です。

なぜ、あなたの体に不快な症状が出ているのか?

実は斜角筋症候群は、単に首や肩の問題だけではありません。確かに局所的に見れば、首の筋肉(斜角筋)に問題があります。しかし、「なぜ、首の筋肉が神経や血管を圧迫しているのか?」までを考えると、身体全体のバランスの乱れた結果、首に負担が溜まってしまっている事こそが問題なのです。

体の歪みと斜角筋症候群の関係

例えば、高層ビル。高層ビルをしっかり建てようとしたら、土台が大事ですよね。もし地盤沈下が起きて土台が傾いたらビルは傾きます。そしてその傾きは、ビルの上層階に行けば行くほど、傾きは大きくなります。

人の身体も同じです。土台が歪めば、上にも影響が出ます。まして人の体は一番上に頭が乗っていますので、構造的には不安定です。

なぜならこの頭、普段私たちはあまり意識しませんが、実は約5キロもの重さがあります。5キロってボーリングの球と同じくらいです。結構重いですよね。この重い頭を首の筋肉が支えています。

そしてここからが重要なのですが、人の体は土台が傾くと、その傾きを補正しようとします。この補正作用は、一見すると体のバランスを保つための賢明な対応に思えますが、実は新たな問題を引き起こす原因となります。

例えば、骨盤が少し傾いたとします。すると背骨はその傾きを打ち消すように反対方向にカーブを描きます。さらに、首の部分でも同様の補正が行われ、結果として全身がS字のような形になります。この姿勢の変化は、一時的には体のバランスを保つのに役立ちますが、長い目で見ると「筋肉や関節に過度な負担」をかけることになるのです。

また首の部分では、この補正作用によって斜角筋に大きな負担がかかります。なぜなら、傾いた頭(約5キロ)を支えるために、斜角筋が通常以上に緊張し続けなければならないからです。そして、この持続的な緊張が斜角筋症候群の引き金となります。

つまり、あなたの首や肩の不快な症状は、体全体のバランスの乱れが、最終的に首の部分に集中して現れた結果なのです。だからこそ、斜角筋症候群の治療には、単に首や肩だけでなく、体全体のバランスを整えるアプローチが必要なのです。

1:土台の歪み

あなたの体の土台である骨盤や背骨が歪むと、それを補正しようと上半身に無理な力がかかります

2:上部構造への影響

 土台の歪みは、建物の上層部にも影響を及ぼします。体で言えば、首や肩に過度な負担がかかることになります

3:症状の出現

その結果、斜角筋に過度な緊張が生じ、神経や血管を圧迫して斜角筋症候群の症状が現れるのです

なぜ身体が歪むのか?

身体が歪む原因は人それぞれですが、下記の原因等が合わさり歪んでいきます。

日常生活の姿勢

長時間のデスクワークやスマホの使用による前傾姿勢が、体の歪みを引き起こします

運動不足

体を動かす機会が少ないと、筋力低下や柔軟性の欠如につながり、体のバランスを崩し原因になります。

ストレス

精神的なストレスは体の緊張を高め、筋肉の硬直や血行不全を招きます

過度な運動や重労働

特定の部位に負担が集中すると、体全体のバランスを崩す原因となります

斜角筋症候群の進行具合

斜角筋症候群の症状は、一般的に以下のような段階を経て進行していきます。

初期段階:軽度の不快感
  • 首や肩のこわばり感
  • 軽い疲労感
  • 時々感じる腕のだるさ

この段階では、日常生活にはほとんど支障がありません。しかし、逆に考えれば、この時期に適切なケアを行うことができれば、早く良くなるチャンスでもあります。軽いストレッチや姿勢の見直しで改善できる段階です。

中期段階:症状の顕在化
  • 首や肩の痛みが増加
  • 腕のしびれや痛みが頻繁に
  • 手の冷えや感覚の鈍さ

日常生活に少し支障が出始める段階です。仕事や趣味にも影響が出てきます。この段階で適切なケアを始めれば、症状の悪化を防ぐことができます。

後期段階:症状の慢性化
  • 持続的な痛みやしびれ
  • 腕の筋力低下
  • 手先の動きに支障

日常生活に大きな影響が出る段階です。仕事や家事に支障をきたすことが増えてきます。セルフケアだけでは厳しいですが、適切な治療を行えば症状の改善は十分可能です。

まとめ

斜角筋症候群の症状は、体全体のバランスの乱れが首や肩に集中して現れた結果です。つまり、首や肩だけを治療しても、根本的な解決にはなりません。

そこで当院では、症状が現れている部位だけでなく、体全体のバランスを整えることで、根本的な改善を図っています。最後までお読みくださり、ありがとうございました。

(監修:鍼灸学士・柔道整復師 桂 寛章)