手根管症候群とパソコン作業の関係

「キーボードを打つたびに手首が痛む

「長時間パソコン作業をすると、夜は指がしびれて眠れない

「マウス操作が辛くて、仕事に支障が出始めている

こんな症状でお悩みではありませんか?

もしかしたら、それは手根管症候群の初期症状かもしれません。

今回のブログでは、デスクワーカーの皆さんに向けて、手根管症候群とパソコン作業の関係について詳しく書いてみましたので、ぜひ最後までお読みください。

手根管症候群とは

手根管症候群は、手首の神経(正中神経)が圧迫されることで起こる症状の総称です。手首の内側にある「手根管」と呼ばれるトンネル状の部分を正中神経が通っていますが、この部分が何らかの原因で狭くなると、神経が圧迫され、様々な症状が現れます。

パソコン作業と手根管症候群の関係

長時間のパソコン作業は、手根管症候群のリスクを高める主な要因の一つです。その理由は以下の通りです。

反復動作

キーボード入力やマウス操作の繰り返しが、手首や指の筋肉や腱に負担をかけます。

不自然な姿勢

長時間同じ姿勢を保つことで、手首や腕に余計な負担がかかります。

手首の角度

キーボードやマウスを使用する際の手首の角度が不適切だと、手根管を圧迫する可能性があります。

筋肉の緊張

長時間の作業で筋肉が緊張し、血行不良を引き起こします。

手根管症候群の主な症状

パソコン作業に関連する手根管症候群の主な症状には以下のようなものがあります。

  • 親指、人差し指、中指のしびれや痛み
  • 手のひらや手首の痛み
  • 指先の感覚が鈍くなる
  • キーボード入力やマウス操作時の違和感や痛み
  • 夜間や朝方の症状悪化
  • 物をつかむ力の低下

これらの症状が持続したり、徐々に悪化したりする場合は、手根管症候群の可能性が高いと言えます。

パソコン作業時の予防法

手根管症候群を予防するために、以下の点に注意してパソコン作業を行ってください。

正しい姿勢を保つ
    • 椅子の高さを調整し、足が床にしっかりつく状態にする
    • 背筋を伸ばし、肩の力を抜いて座る
    • モニターの高さを目線と同じか少し下になるように調整する
キーボードとマウスの位置を最適化する
    • キーボードは肘の高さより少し低めに設置する
    • マウスは肘を曲げたときに自然に手が置ける位置に配置する
    • リストレストを使用して、手首をサポートする
適切な手首の角度を維持する
    • タイピング時は手首をまっすぐに保つ
    • マウス操作時も手首を極端に曲げないようにする
定期的に休憩を取る
    • 1時間に1回は5-10分の休憩を取る
    • 休憩中に軽いストレッチを行う
ストレッチと運動を行う
    • 手首のストレッチ:手のひらを上と下に向け、もう一方の手で指を後ろに優しく引っ張る。15秒間保持し、3回繰り返す

                            ・指のストレッチ:指を広げたり、握ったりを繰り返す

    • 肩や腕のストレッチもあわせて行う

エルゴノミクス製品の活用
    • エルゴノミクスキーボードやマウスを使用する
    • 縦型マウスや分割キーボードなど、手首への負担が少ない製品を選ぶ

自己診断の方法

手根管症候群の可能性を自己診断する方法として、以下のテストがあります。

  • ティネル徴候:手首の内側を軽くたたいて、しびれや痛みが指に放散するか確認する。
  • ファレンテスト:両手を合わせて1分間保持し、しびれや痛みが出現するか確認する。

これらのテストで陽性反応が出た場合は、手根管症候群の可能性が高いと言えます。ただし、正確な診断は医療機関で行う必要があります。

整形外科での治療法

  1. 消炎鎮痛剤の処方
  2. ステロイド注射
  3. 装具療法(手首の固定)
  4. 手術療法(手根管開放術)

保存療法(薬物や装具)で効果のない場合は、手術の適応になります。

当院での施術

当院では「なぜ?手根管が狭くなり、正中神経を圧迫しているか?」ここに焦点を当てた施術をしています。

同じ職場で同じような仕事量をこなしていても、手根管症候群になる人もいれば、ならない人もいます。その差は何か?

手根管症候群を発症している方の多くは、肩から肘、肘から手首にかけて「ねじれ」ています。このねじれ(歪み)の負担が、最終的に手首に現れると手根管症候群を発症します。そこで当院の施術では、「痛みやしびれ」のある部分だけでなく、肩から肘、手首のねじれ(歪み)をとる施術で効果をあげています。

症例紹介

当院で治療を受けた30代男性の患者さんの例をご紹介します。

Aさん(34歳、システムエンジニア)は、110時間以上のパソコン作業を行う仕事をしています。半年前から右手の親指、人差し指、中指にしびれを感じるようになり、夜間に痛みで目が覚めることもありました。

初診時、Aさんの症状は中等度で、ティネル徴候とファーレンテストで陽性反応が見られました。整体治療と併せて、作業環境の改善とストレッチ指導を行いました。

治療開始から2ヶ月後、Aさんの症状は大幅に改善しました。現在も月1回のペースでメンテナンス施術を受けており、症状の再発を予防しています。

Q&A

Q1: パソコン作業は完全に避けるべきですか?

A1: 必ずしもそうではありません。適切な姿勢と環境で作業を行い、定期的に休憩を取ることで、症状の悪化を防ぐことができます。

Q2: 手根管症候群の治療にはどのくらいの期間が必要ですか?

A2: 症状の程度や個人差によって異なりますが、軽度から中等度の場合、適切な治療を継続することで1~2ヶ月程度で大幅な改善が見られることが多いです。

Q3: パソコン作業以外に気をつけるべきことはありますか?

A3: はい、スマートフォンの過度な使用や、手首を酷使する趣味(編み物、楽器演奏など)にも注意が必要です。また、適度な運動や睡眠、バランスの取れた食事も症状改善に役立ちます。

まとめ

パソコン作業と手根管症候群は密接な関係にありますが、適切な予防策を講じることで、リスクを大幅に軽減することができます。正しい姿勢、定期的な休憩など、小さな工夫の積み重ねが大きな効果を生みます。

尚、手根管症候群の施術は当院でも行えますので、お困りの際はご相談ください。最後までお読みくださり、ありがとうございました。

(監修:鍼灸学士・柔道整復師 桂 寛章)