東洋医学から見る「熱中症と汗の関係」

熱中症対策は、水分を「摂るだけ」では足りない?
「夕方になると足がパンパンで靴がきつい」
「水分は摂っているつもりなのに、なんだか身体がだるい…」
こんにちは。大阪市旭区にある新森桂整体院の桂 寛章(かつら ひろあき)です。
夏が近づくと、「水分をしっかり摂って熱中症を予防しましょう」というフレーズを、よく耳にするようになりますよね。
もちろん水分補給はとても大事です。
ですが、水分は“摂る”だけでなく、“出す”ことも同じくらい大事だということは、あまり知られていないかもしれません。
実は、体に熱がこもりやすくなる原因のひとつが、「うまく汗をかけないこと」。
つまり、体の中の“水のめぐり”が悪くなっていることが、夏バテや熱中症の原因になるケースも多いのです。
東洋医学では、こうした状態を「中暑(ちゅうしょ)」と呼び、体の内側に熱がこもる状態として古くから知られていました。
そこで今回は、水分補給とは別の視点で、熱中症を予防するヒントをお届けします。
「中暑」って何?
東洋医学では、熱中症に似た症状を「中暑(ちゅうしょ)」と呼びます。
「中」は「中毒」の“中”と同じで、身体の中に暑さが入り込み、熱がこもってしまった状態を指します。
東洋医学では、夏は本来、汗をかいて体の中の“古い水”を出し、“新しい水”に入れ替える季節とされています。
つまり、「水分補給(新しい水)」だけでなく、汗をかいて“古い水”をしっかり出すことも大事なんですね。
ところが現代では…
- 冷房のきいた室内で長時間過ごす
- 運動不足で汗をかく機会が少ない
- 湯船に浸からず、シャワーだけで済ませる
といった生活習慣が当たり前になり、汗を出す汗腺が十分に働かず、汗をかきにくい体になっている方も少なくありません。
その結果、熱がうまく逃げずに体の中にこもり、「中暑=熱中症」のリスクが高まります。
足のむくみは、体内の水分バランスの乱れ?
「疲れると足がむくむ…」という方は多いと思います。
でもそれ、単なる“疲労”や“立ち仕事のせい”だけではないかもしれません。
むくみは、体の中の水分がうまく巡っていないサイン。
つまり、体内の水分バランスが乱れている状態です。
東洋医学では、こうした状態を「水毒(すいどく)」と呼び、不要な水分が体にたまっていると考えます。
水が滞ると、代謝が落ち、汗もかきにくくなり、熱をうまく逃がせません。
つまり、「足のむくみ」は、体の中に**“熱がこもりやすい状態”がすでに始まっている**と考えられます。
特に、梅雨から夏にかけてのむくみは、熱中症の危険信号として見逃さないようにして下さい。
発汗は健康の基本。汗をかく習慣をつけよう
汗をかくことは、単に体温を下げるだけでなく、体内の老廃物や熱を外に出す大切なしくみです。
しかし、現代人の多くは汗をかくことが減ってきています。運動不足、冷房、入浴は湯船に浸からずにシャワーで済ます…
このような生活が続くと、汗腺が閉じがちになり、いざというときにうまく発汗できない体になっている人も多いのです。
湯船の入り方ひと工夫で、汗が出やすくなる?
お風呂に入ることは、
- 発汗を促す
- 血液やリンパの流れを良くする
- 自律神経を整える
と、実は熱中症対策としても、とても効果的です。
もちろん「湯船にゆっくり浸かる」だけでも良いのですが、ちょっとした工夫でさらに効果アップが狙えます。
それは、「交代浴」です。
湯船に浸かる → 上がる → また浸かるというサイクルを交互に繰り返す入浴法です。
たとえば、
-
最初に湯船に3分ほど浸かる
-
一度上がって身体を洗う
-
再び3分ほど浸かる
-
また上がって髪を洗う
-
最後にもう一度浸かる…
というように、何度か繰り返して行うのがポイントです。
この方法は、温冷の刺激を交互に与えることで、身体の深部までしっかり温まりやすくなるだけでなく、湯船に浸かっているときには副交感神経が優位に、湯から出て少し冷えると交感神経が優位になるため、自律神経の切り替え力が自然に鍛えられるのも大きなメリットです。
また、湯船に浸かっている間に、手足の指先や爪のまわりをやさしくマッサージするのもおすすめです。
爪の周りには、自律神経を整えるツボがたくさん集まっています。手足を温めマッサージをすることで、自律神経のバランスを整え、熱中症の予防にもひと役買ってくれます。
(※熱中症と自律神経の関係については、こちらのブログ記事もご覧ください)
👉 熱中症を姿勢で予防!?整体で出来る熱中症対策
熱中症になりやすい人・なりにくい人の違いは?
「同じように暑い場所にいても、体調を崩す人とそうでない人がいるのはなぜ?」
実は、日々の生活習慣の違いが、熱中症になりやすいかどうかに大きく関係しています。
熱中症になりやすい人の特徴
- 普段あまり汗をかかない(汗腺が働いていない)
- 寝不足や、疲れがたまりがち
- 冷たいものばかり食べたり飲んだりする(内臓が冷えて血流が悪くなる)
- 足がむくみやすい、トイレに行く回数が少ない
こういった方は、体の中に熱や水分がこもりやすくなり、熱中症になりやすい傾向があります。
熱中症になりにくい人の特徴
- 日常的に軽く汗をかいている(入浴や軽い運動など)
- 食事・睡眠のバランスが整っている(自律神経が乱れにくい)
- 血流がよく、代謝が活発
「体の中で熱がちゃんと逃げる仕組み」が整っている人は、暑さに強い体になっているのです。
食べ物でも熱中症対策を
体の内側からの対策として、食べ物の選び方もとても大切です。
特に夏場は、水分・ミネラル・代謝を助ける栄養を意識しましょう。
◯ 積極的に摂りたいもの
- きゅうり、トマト、スイカ:体の熱を冷ます
- みそ汁、梅干し:塩分・ミネラル補給に
- 豚肉、納豆、玄米:エネルギー代謝を助け栄養も豊富
◯ できれば控えたいもの
- アイスや冷たいジュース:内臓が冷えて消化力ダウン
- アルコールやカフェイン:利尿作用が強く、脱水に注意
- 加工食品(スナック・インスタント):塩分や糖分が多く、むくみの原因に
「何を食べるか」だけでなく、「冷やしすぎない・偏らない」ことも意識すると、夏の体調管理にグッと差が出ます。
まとめ
熱中症というと、「外が暑いからなるもの」「水を飲んでおけば大丈夫」と思いがちですが、実は、自律神経・血流・睡眠・内臓の働きなど、体の内側の状態が大きく関わっていることが分かっています。
新森桂整体院では、あなたの体に合わせた優しい施術で、
「自律神経を整える」
「代謝や血流を良くする」
「睡眠の質を高める」
といった、“暑さに負けない体づくり”をお手伝いしています。
この夏を元気に乗り切るために、一度ご自身の体の状態を見直してみませんか?
お電話やメールでの無料相談も行っておりますので、お気軽にお問い合わせください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
(監修:鍼灸学士・柔道整復師 桂 寛章)