家庭でできる!起立性調節障害の4つのケア
こんにちは。大阪市旭区にある「新森桂整体院」の院長、桂 寛章(かつら ひろあき)です。
今回は、起立性調節障害(OD)と診断されたお子さんのために、自宅でできるケア方法をご紹介します。
「薬を飲んでいるけど、なかなか改善しない…」
「朝になると起きられず、学校も行けない日が続いている…」
そんな悩みを抱えているご家庭にとって、毎日の過ごし方やちょっとした工夫が、回復の後押しになることがあります。
「うちの子も起立性調節障害かも?」と感じた方は、前回の記事でODの特徴や症状について詳しく紹介していますので、よろしければそちらもご覧ください。
👉 [起きられない…もしかして起立性調節障害?(前回ブログ)]
なぜ朝がつらいの? まずは仕組みを知ろう
本来、私たちの身体には「朝になれば自然と目が覚めて、夜になると眠くなる」というリズム(体内時計)があります。
これは自律神経の働きによって保たれており、昼間に活発に働く交感神経と、夜にリラックスさせる副交感神経が、うまく切り替わりリズムを保っています。

ところが、起立性調節障害になると、この自律神経が乱れてしまい、身体のリズムや調整機能がうまく働かなくなってしまいます。
特に朝は、本来なら交感神経が働き始めて血圧を上げ、全身を活動モードに切り替えるはずなのですが、この切り替えがスムーズにいかないために…
- 起き上がると気持ち悪くなる
- 頭がぼーっとして動けない
- 朝は食欲が出ない
といった症状が起こりやすくなります。
つまり、「夜は元気なのに、朝だけしんどい」というのは、決してなまけているのではなく、身体が本来持っているリズム(体内時計)が乱れているせいなのです。
こうした状態は、いわゆる“病気”というよりも、成長期に起こりやすい自律神経の一時的な不調と捉えると、少し安心できるかもしれません。
ただし、一時的な不調とはいえ、学校生活や家族の朝のリズムにも影響するかと思います。
そこで、なるべく早く改善できるように、次のようなケアを取り入れてみてはいかがでしょうか?
【ケア①】朝の起き方を変えてみる
朝がつらい子にとって、「起きる」という行為そのものが、毎日とても大きなハードルになっています。
特に起立性調節障害では、目が覚めても体が動かない、立ち上がると気分が悪くなるといったことがよく起こります。
そこで最近注目されているのが、「光」を使って自然な目覚めを促す“光目覚まし”というアイテムです。
これは、設定した時刻に合わせて徐々に明るくなる仕組みの目覚ましで、朝日が昇るように部屋にやさしい光を広げてくれます。
ポイントは、「音ではなく“光”で目を覚ます」ということ。
私たちの体は、強い光を浴びることで、眠気を引き起こす「メラトニン」というホルモンの分泌が抑えられ、目覚めを促す「セロトニン」というホルモンが分泌されるようにできています。
そして、この睡眠と覚醒に関わるホルモンの切り替えを担っているのが自律神経なのです。
つまり、朝に光をしっかり浴びることは、自律神経に「目覚めのスイッチ」を入れることにもつながります。
朝がつらい子どもに「カーテンを開けて太陽を浴びて」と言っても、なかなか実行に移せないことが多いですよね。
その点、光目覚ましなら布団の中にいながらでも光を浴びることができるので、朝の起きづらさを少しやわらげてくれます。
【ケア②】生活リズムを整えるコツ
自律神経は、毎日のリズムにとても敏感です。特に、睡眠・食事・光の刺激がカギになります。
しかし「生活リズムを整えることが大切」と言われても、いきなりすべてを整えるのは難しいですよね。
そこで大切なのは、“できるところから整える”ことです。
まず意識してほしいのは、寝る時間を毎日だいたい同じにすること。
朝うまく起きられなかったとしても、夜はなるべく決まった時間に布団に入るようにしておくと、体内時計が次第に整っていきます。
そのためにも、就寝の2時間前からはスマホやゲームの使用を控えるのがおすすめです。
スマホなどの画面から出るブルーライトは、脳に「今は昼間だ」と錯覚させ、睡眠を促すホルモン(メラトニン)の分泌を妨げてしまいます。
その結果、眠気が遠のき、寝つきにくくなったり、睡眠の質が下がってしまい、朝になっても「まだ眠い」「起きられない」につながります。

もうひとつ大切なのが、食事の時間を一定に保つことです。
「腹時計」という言葉があるように、食事のタイミングは体内リズムに大きな影響を与えます。
朝食を無理に取る必要はありませんが、昼食・夕食の時間をなるべく毎日そろえることで、体のリズムが整いやすくなります。
生活リズムは、朝だけでなく24時間の積み重ねです。
無理に朝から完璧を目指すのではなく、「夜の過ごし方」「日中の過ごし方」から整えていくことが、結果的に朝の改善にもつながっていきます。
【ケア③】食事と水分でサポート
起立性調節障害では、血圧が低め・脱水傾向になりやすいため、食事と水分の取り方にも工夫が必要です。
以下のポイントを、できるところから取り入れてみてください。
- 朝は水分+塩分を意識
味噌汁+ごはん、おにぎり+スープなど、「塩分と水分」を一緒に取れる組み合わせがおすすめです。
ただ、朝食が取れないことも多いと思います。そんな時は無理せず、コップ1杯の水を飲むことだけでも意識してみてください。 - バランスの取れた食事を意識
タンパク質、ビタミン、ミネラルをしっかり摂ることは、自律神経の安定にもつながります。
肉・魚・卵・大豆製品などのタンパク質源をしっかり取り、野菜や果物からビタミンやミネラルを補給しましょう。
- パンや麺類より、「ごはん(米)」中心の食事を意識
血糖値が急上昇しやすいお菓子やジュース、菓子パンなどは、その後の急降下で「だるさ」や「眠気」を引き起こし、自律神経の乱れにつながります。
一方、ごはん(特に玄米や雑穀米など)は吸収がゆるやかで、血糖値の変動を安定させてくれます。 - 冷たいものばかりに偏らないように
夏場は冷たい飲み物や食べ物が増えがちですが、胃腸が冷えると消化機能が落ち、体調不良につながることも。
温かい汁物や常温の飲み物を意識して取り入れましょう。 - 水分は「のどが渇く前」に
脱水になると血流が悪くなり、頭痛やふらつき、だるさの原因になります。
のどが渇いていなくても、こまめな水分補給を習慣にしましょう。
また、寝ている間にも水分は失われるため、就寝前にコップ1杯の水を取ることが、夜間・朝の脱水予防に役立ちます。 - カフェインは控えめに
コーヒーやエナジードリンクに多く含まれるカフェインは、交感神経を刺激して興奮状態を高めてしまいます。
眠りが浅くなり、朝のだるさが悪化することもあるため、なるべく控えましょう。
水や麦茶などカフェインの少ない飲み物がおすすめです。
【ケア④】ストレスや緊張を減らす習慣を
症状が長引くと、「ちゃんとしなきゃ」「学校に行かなきゃ」といったプレッシャーが、自律神経を乱すこともあります。
大切なのは、周りが焦らないことです。
- 起きられなかった日を責めない
- ストレッチや深呼吸、湯船につかるなどでリラックスタイムをつくる
- 軽く汗ばむ程度の運動(散歩やラジオ体操など)を日常に取り入れる
→ 適度な運動は、ストレスを和らげ、自律神経の安定にもつながります - 「学校に行けなくても、今は体を整える時期」と捉える柔軟さ
特に思春期のお子さんは、人知れずプレッシャーを感じていることが多いため、安心できる家庭環境が何よりのケアになります。

【整体の視点から】姿勢や呼吸・血流も影響します
起立性調節障害と姿勢は、一見関係がないように思えるかもしれませんが、猫背や巻き肩など姿勢のゆがみは、呼吸を浅くし、自律神経の働きに影響を与えることがあります。
当院では、やさしい整体で背骨や骨盤のゆがみを整え、全身の緊張を和らげることで、血流や呼吸を改善し、身体の隅々まで酸素や栄養が届きやすくします。
これにより、自律神経のバランスも整いやすくなり、朝晩の切り替えがスムーズになります。
※自律神経と整体については、こちらのページもぜひご覧ください。
https://www.seikotsu.com/menu/futeisyuuso
まとめ
起立性調節障害は、無理に頑張らせてもすぐにはよくなりません。
それでも、日々の生活の中でできることを少しずつ積み重ねていくことが、体調の改善につながります。
今回ご紹介したケアも、すべてを完璧にやる必要はありません。
まずは「朝の水だけは飲んでみようかな」「夜のスマホを少し控えてみようかな」――そんな小さな一歩で十分です。
また当院では、起立性調節障害で悩むお子さんの整体も行っています。
自律神経は目に見えないため、ご本人もご家族も不安に感じることがあるかもしれません。
何かお困りのことがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
(監修:鍼灸学士・柔道整復師 桂 寛章)




