なかなか治らない鵞足炎の治し方

「休めば楽になるけど、走るとまた痛くなる…」

「このままじゃマラソン大会に間に合わない

「ストレッチやテーピングをしても、効果が感じられない

こんな思いを抱えている方も少なくないと思います。

こんにちは、大阪市旭区の新森桂整体院です。

今回のブログでは、なかなか治らない鷲足炎の治し方について、書いてみました。

鷲足炎とは

鷲足炎(がそくえん)は、膝の内側にある鵞足(がそく)と呼ばれる部位に炎症が起こる疾患です。鵞足は、3つの筋肉(縫工筋、薄筋、半腱様筋)が付着する場所で、その形状が鵞(がちょう)の足に似ていることから名付けられています。

原因

鷲足炎の主な原因は、繰り返される膝へのストレス(屈曲と内旋動作)です。具体的には以下のような要因が考えられます。

  • 自身の筋力・走力に見合わないトレーニング
  • 足に合わない靴の使用
  • 急激な運動量の増加
  • 不適切なフォームでの走行

一般的な治療と治るまでの期間

鷲足炎の一般的な治療法には以下のようなものがあります

  • 安静とアイシング
  • 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の使用
  • ストレッチと筋力の強化
  • サポーターの使用
  • 湿布やテーピングの使用

治癒までの期間は個人差がありますが、軽症の場合は数週間で炎症が治まる人もいます。しかし、なかなか治らない、治ってもすぐに再発する人もいます。

なぜ治る人と治りにくい人、再発を繰り返す人がいるのか?

鷲足炎の回復には、もちろん個人差もありますし、怪我の程度の差もあります。しかし、そもそも同じような体力で同じ練習をしていても、ケガをする人、しない人もいますよね。

また、同じリハビリメニュー(ストレッチやアイシング、テーピング)をしても、症状が改善する人もいれば、なかなか良くならない人、さらには再発を繰り返す人もいます。

フォームだけが原因?

一般的な鷲足炎の原因に「走るフォームの問題」があります。確かに、フォームは重要な要素ですが、それだけではありません。

また、フォームを改善しようと努力しているのに、なかなか上手くフォームを直せないというジレンマを抱えている方もいます。

それ以外にも、アイシング、ストレッチ、テーピングなど、一般的な対処法を試しても、膝の痛みがなかなか引かない方がいます。このような場合、問題の根本は別のところにある可能性があります。

その一つが、「体の歪み」です。体の歪みは、見た目ではわかりにくいものの、走る動作全体に影響を与え、結果として鷲足炎を引き起こしたり、その回復を遅らせる可能性があるのです。

体の歪みとフォームの乱れ

体の歪みがあると、股関節や足首の動きに制限がかかる場合があります。すると、フォームが乱れる原因になったり、頭でイメージする動きができず、結果としてフォームの乱れにつながります。フォーム改善の練習をしても上手くいかない人は、このような状態かもしれません。

足の裏の重心のずれ

また、身体が歪むと、足の裏にかかる重心点のずれにもつながります。

鷲足炎の原因を考える際、意外と見落とされがちなのが足の裏です。足の裏には、体重が乗る(体を支える)重心点があります。この3点(踵、親指の付け根、小指の付け根)に均等に乗っていれば問題ありませんが、普段の姿勢や体の使い方などの影響で身体が歪むと、重心の乗る位置がずれていきます。

このずれは、足の裏の筋肉に影響を与え、足の指の動きにも影響します。すると、足の指がしっかりと地面をとらえられないので、走るフォームにも影響を与えます。

例えば、手のひらで考えてください。逆立ちをする際に、手のひらを広げてするのと、閉じてするのでは、しやすさが違いますよね。足の指も同じです。足の指で「パー」ができるか、またはしっかり「グー」ができるか、皆さんはどうでしょうか?

現代人の多くは、裸足でいる機会が少ないため、足の指が上手く使えなくなっている方が多いです。

特に多いのが、薬指と小指が上手く開かなかったり、閉じない人です。このような場合、体重を重心点の3点で均等に支えられず、足の裏の重心をずらす原因になります。この影響が、足首や膝、股関節に及び、やがて鷲足炎にも繋がります。

↑この方の場合、踵に重心がズレ、右足重心になっています。また足の指も写っていない指があります。写っていない指は体重が乗らないので、必然的に踏ん張りも効かず、ランニング時の足裏の接地時に足がぶれる原因になります。

再発を繰り返す、なかなか治らない痛みの真の原因

再発を繰り返す膝の痛みや、なかなか治らない痛みは、実は膝だけの問題ではなく、体の歪みや足裏の問題が隠れている可能性があります。これらの根本的な原因を解決しないと、一時的に症状が改善しても、再び痛みが戻ってくる可能性が高いのです。

そこで、鷲足炎の根本的な解決には、膝だけでなく、体全体のバランスを見直し、足裏の機能も含めた総合的なアプローチが必要となります。

当院での施術

当院では、「鷲足炎」の痛みを単に膝の問題としてだけでなく、体全体のバランスの乱れから生じる症状として捉えています。そのため、以下のような総合的なアプローチで施術を行っています

身体の歪みの調整

身体の歪みを検査し、必要に応じて調整を行います。これにより、膝への負担を軽減し、正しい姿勢での動作を促します。

股関節と足関節の機能改善

股関節や足関節の可動域や筋力検査を行い、これにより、膝への負担を分散させ、より効率的な動きを可能にします。

足裏の重心と調整

足裏の重心のずれを検査し、必要に応じて足指の運動指導を行います。これにより、足裏全体で地面をしっかりと捉え、安定した歩行や走行を可能にします。

運動指導

日常生活やスポーツ活動に合わせた、適切な運動指導を行います。これにより、再発予防と長期的な改善を目指します。

このような総合的なアプローチにより、単に症状を抑えるだけでなく、根本的な原因に対処することで、長期的な改善と再発予防を目指します。

予防とセルフケア

なかなか良くならない鷲足炎の予防とセルフケアには、足裏のケアが特に重要です。以下のような方法を日常生活に取り入れてください。

足指の体操

足指じゃんけん:足の指だけで「グー」「チョキ」「パー」を作ります。

タオルギャザー:床に置いたタオルを足の指でつかみ、手前に引き寄せます。

ボールローリング

テニスボールなどの小さなボールを、足の裏で前後左右に転がします。

裸足での歩行

安全な場所で、短時間でも裸足で歩く時間を作りましょう。

足裏マッサージ

足裏全体をマッサージし、血行を促進させます。

これらの自己ケアを継続的に行うことで、足裏の機能を改善し、鷲足炎の予防や再発防止につながります。

まとめ

鷲足炎の治療には、単に膝周辺のケアだけでなく、身体全体のバランスを考慮することが重要です。足の裏の機能から股関節や足首の動き、そして全身のアライメントまで、総合的に評価し改善することが、鷲足炎の根本的な解決につながります。

尚、当院でも鷲足炎の施術は出来ますので、なかなか良くならない鷲足炎でお困りなら、ご相談ください。最後までお読みくださり、ありがとうございました。

(監修:鍼灸学士・柔道整復師 桂 寛章)