実は全身からのSOS?顎関節症の隠れた真実

「顎がカクカクして痛い…」

「口を大きく開けられない…」

「耳の奥が痛くて頭まで痛くなる…」

このような症状でお悩みの方は、顎関節症かもしれません。

顎が不自由だと、しゃべるのも食べるのも困りますし、たびたび「ズキーン」とした痛みが出たら憂鬱になりますよね。

当院にも「顎関節症」でお困りの方が来られるのですが、そんな方を見させてもらって感じるのは…顎の問題は単に顎だけの問題ではないと言うことです。

特に何度も顎関節症を再発している方は、今回のブログは役に立つ内容もあるかと思いますので、ぜひ最後までお読みください。

顎関節症とは

顎関節症は、顎の関節やその周囲の筋肉に問題が生じる疾患です。痛みや開口障害など、様々な症状を引き起こします。

一般的な原因

通常、以下のような原因が挙げられます。

  1. 歯ぎしりや食いしばり
  2. 不適切な咬み合わせ
  3. 顎への過度な負担
  4. 外傷
  5. ストレス

顎関節症の隠れた真実:全身との関係

ここで注目したいのは、顎関節症と全身の密接な関係です。顎関節症は単なる局所的な問題ではなく、全身に影響を及ぼす可能性があります。

スポーツ選手とマウスピース

多くのトップアスリートがマウスピースを使用していることをご存知でしょうか。サッカー選手の遠藤航選手や、ボクシングの井上尚弥選手などが有名です。彼らがマウスピースを使用する理由は、単なる歯の保護ではありません。

実は、正しい噛み合わせが全身のパフォーマンスに大きく影響するのです。バランス感覚の向上、瞬発力の増加、さらには怪我の予防にまで効果があるとされています。

逆説的な真実

ここで重要なのは、この関係が逆も然りだということです。つまり、全身のバランスの乱れが顎に影響を与える可能性があるのです。

例えば…

  • 足の左右の長短による姿勢の変化が、顎の位置に影響を与える
  • 骨盤の歪みが脊柱を通じて首や顎の位置を変える
  • 肩こりが顎の筋肉の緊張を引き起こす

このように、顎関節症の真の原因は、実は全身にあることが少なくありません。

全身への影響

顎関節症が進行すると、全身にさまざまな症状が現れることがあります。

  1. 頭痛やめまい
  2. 耳鳴り
  3. 肩こりや腰痛
  4. 姿勢の悪化
  5. 精神的なストレスや不安

上記の姿勢と噛み合わせの関係についてですが、これは単なる私の経験則ではありません。実際に、この関連性は学術的な研究でも証明されています。

例えば、「若年者における不良姿勢が咬合関係に及ぼす影響」という研究では、姿勢の良否と咬合接触面積、咬合力、ブラキシズムには関係があることが示唆されています。

また、「咬合接触状態が安定域と重心動揺に及ぼす影響」という研究では、咬合接触状態の変化が姿勢制御に影響を与えることが示されています。

当院の施術例

20代 男性 症状 口を開けるのも噛むのも痛みがあり、食事ができない

施術前↓口があまり開かず、顎を左右に動かすのも痛みがあります。(特に右には殆ど動きません)また動画ではわかりませんが、噛む時も痛みがあります。

初回の施術後↓口が少し開くようになり、左右にも顎が動かせるようになりました。

2回目の施術後↓口の開きが大きくなり、顎も左右に動かせ流ようになりました。(動画では分かりませんが、噛む時の痛みもとれました)

(施術の効果には個人差があります)

この方の考察

初回来院時は、力を入れて噛むことが出来なかったので気が付きませんでしたが、噛めるようになると(2回目の動画)右の顎(エラ)の部分に、ポコッと筋肉の盛り上がりが出来ます。(左にはありません)※動画中のです

これは、腕でいうと「力こぶ」みたいなものです。つまりこの方は「右の顎の筋肉」をよく使うことで、右の顎の筋肉だけが発達したと考えられます。このような片方だけで噛む癖は、顎関節症の原因になります。

また、この方には「身体の歪み」もありました。正直、身体の歪みの影響で、片方の顎をよく使うようになったのかは分かりません。

ただし、「顎の整復」をする前に、体の歪みを整えると、それだけで顎の「動きも痛み」も良くなったので、身体の歪みの影響は顎にあったと考えられます。

セルフチェックとケア

以下のような症状がある場合、顎関節症の可能性があります。

  • 顎を動かすときの痛み
  • 開口障害(口を大きく開けられない)
  • 顎のカクカク音
  • 頭痛やめまい
  • 首や肩のこり
  • 耳の前や顔の側面の痛み
自宅でのケアとしては

顎のストレッチ

・ゆっくりと口を開け閉めする(10回程度)

・顎を左右に動かす(各方向10回程度)

・顎を前に突き出し、元に戻す(10回程度)

マッサージ

・顎関節周辺を指先で優しくマッサージする

・頬の筋肉(咬筋)をやさしくほぐす

温熱療法

温かいタオルや湿布を顎関節部分に当てる(10分程度)

生活習慣の改善

・姿勢を正す(特にデスクワーク時)

・スマートフォンの使用時間を減らす

・硬い食べ物を避ける

・ストレス解消法を見つける(ヨガやウォーキングなど)

全身アプローチの重要性

ここで強調したいのは、顎関節症の治療には全身的なアプローチが不可欠だということです。単に顎だけを治療するのではなく、身体全体のバランスを整えることが、より効果的な治療と再発予防につながります。

顎関節症を繰り返し経験している方は、顎以外の部分、例えば姿勢や足のアーチ、骨盤の歪みなどに原因がある可能性が高いです。

まとめ

顎関節症は、一見すると顎だけの問題に見えますが、実は全身の健康状態を反映している可能性があります。スポーツ選手が全身のパフォーマンス向上のためにマウスピースを使用しているように、顎と全身の関係を理解し、総合的なアプローチで健康を維持することが大切と考え、当院では顎関節症に対して全身のバランスを考慮した施術を行っています。

顎だけでなく、首、肩、背中、さらには足まで含めた総合的な視点で、根本的な改善を目指します。

顎の痛みや違和感でお悩みの方、そして何度も顎関節症を繰り返している方は、ぜひ一度ご相談ください。最後までお読みくださり、ありがとうございました。
(監修:鍼灸学士・柔道整復師 桂 寛章)