骨粗鬆症…骨折を防ぐには?

こんにちは、大阪市旭区にある「新森桂整体院」の院長、桂 寛章(かつら ひろあき)です。
先日、ある患者さんからこんなご相談がありました。
「先生、カルシウムのサプリは、飲んだほうがいいのでしょうか?歳をとると、骨が弱くなるっていうのが心配で…」
確かに、テレビの健康番組では「骨粗鬆症(こつそしょうしょう)」という言葉をよく耳にしますし、ネット広告でもカルシウムのサプリメントを頻繁に見かけます。
また「転んで手をついたら骨折してしまった…」という話も、どこかで一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?
そこで今回は、
「カルシウムのサプリは取ったほうがいいのか?」
「もし取るなら、どんな点に注意すればいいのか?」
そして、そもそも”転ばない身体になるには!?”について分かりやすくお話していきます。
骨粗鬆症で「骨の中がスカスカに!?」
骨粗鬆症(こつそしょうしょう)という言葉、聞いたことはあるけれど、実際にはどんな状態なのかイメージしにくい方も多いかもしれません。
よく「骨がもろくなる」と言われますが、いったい骨の中で何が起こっているか、簡単に説明します。
実は、骨の中はもともとスポンジのように細かい網目状の構造をしています。
健康な骨はこの網目がびっしりと詰まっていて、ちょっとやそっとの力では折れません。
(※左側のイラスト参照:「健康な骨」)
ところが、骨粗鬆症になると、この網目の密度がスカスカになり、骨がもろくなってしまいます。すると、転んで手をついただけで手首を骨折したり、尻もちをついた衝撃で背骨を圧迫骨折してしまったりすることもあるのです。
(※右側のイラスト:「骨粗鬆症の骨」)
骨は毎日、生まれ変わっている?
では、なぜ骨がスカスカになってしまうのでしょうか?
実は骨というのは、毎日、古い部分が壊されて、新しい骨が作られるという「入れ替え作業」が行われています。
次のイラストを見て下さい。
「破骨細胞(はこつさいぼう)」という細胞が、古くなった骨を壊す。
「骨芽細胞(こつがさいぼう)」という細胞が、新しい骨を作ります。
この壊す・作るのバランスが50:50で保たれていれば、骨は丈夫なまま維持されます。
(※上の図:「健康な骨の状態」)
ところが、加齢、栄養不足や運動不足、ホルモンバランスの乱れなどが起きると、
骨を壊すスピードが上がってしまいます。すると骨を作るスピードが追いつかなくなるので、骨の中の密度がどんどん失われ、スカスカになっていってしまうのです。
(※下の図:「骨粗鬆症の状態」)
カルシウムは必要。でも…取り方に注意!
骨を丈夫にするには「カルシウム!」というのはよく知られていますよね。
確かにその通りで、カルシウムは骨の材料になる栄養素です。
しかし、ここで大事なポイントがあります。
「カルシウムさえ取っていれば大丈夫!」
…というのは、実は間違いなんです。
たとえば、サプリメントでカルシウムを取ったとしても、
それがうまく吸収されなければ、意味がありません。
また、過剰に取ることで、逆に体に負担をかけてしまうケースもあるんです。
カルシウムが足りないと、骨から溶け出す!?
私たちの体は、血液の中のカルシウム濃度を一定に保つようにできています。
なぜかというと、カルシウムは骨だけじゃなく、心臓や筋肉、神経など、命に関わる働きにも使われているからです。
じゃあ、もしカルシウムが足りなくなったらどうなるのか?
体は「副甲状腺ホルモン」というスイッチを入れて、骨の中にあるカルシウムを溶かして血液中に出してしまいます。
つまり、骨を“崩して”まで血液中のカルシウム濃度を維持しようとするわけです。
しかもこのスイッチ、一度入ると急には止まりません。
その結果、血液中にカルシウムが多くなりすぎてしまうこともあるんです。
そして困ったことに、この余ったカルシウムは、本来いるべきではない場所(たとえば血管の壁など)にたまってしまい、動脈硬化の原因にもなります。
サプリで補えば安心?実はそうでもないんです
「それなら、サプリメントでカルシウムを補えばいいんじゃないの?」
そんなふうに思われる方もいらっしゃるかもしれませんね。
もちろん、サプリメントも一つの方法です。
でも、ここでちょっと気をつけてほしいポイントがあります。
ドラッグストアに行くと、カルシウムのサプリメントって、たくさん並んでいますよね。
お手頃なものから、ちょっと高価なものまで、さまざまです。
では、この値段の違いは何かというと、主に原料の違いです。
たとえば、お手頃な価格のものには、大量生産しやすいカルシウムが使われていることが多いです。これらは体に入ったときの吸収スピードが早いため、体に負担がかかることもあります。
一方で、風化した貝殻などの天然由来のカルシウムを原料にしたサプリメントは、吸収がゆっくりで体にやさしいとされています。
ただし、こうしたサプリは、価格が3倍以上することもあり、続けやすさという意味ではハードルが高くなってしまうかもしれません。
やっぱり、理想は「食べ物から」
そんな理由もあって、できるだけカルシウムはふだんの食事から取ることをおすすめしています。
なぜなら、食品にはカルシウムだけでなく、
- マグネシウムやたんぱく質など、他の栄養素も一緒に含まれている
- 吸収がゆるやかで、体に負担がかかりにくい
- 体が必要に応じて自然に調整してくれる
といった、大きなメリットがあるからです。
つまり、吸収のしやすさ・安全性・続けやすさを考えると、「食事からこまめに摂る」というのがいちばん無理のない方法なのです。
カルシウムがちゃんと吸収される「環境」づくりも大切
もうひとつ見落としがちなのが、「カルシウムがちゃんと吸収される環境が整っているか?」ということです。
どれだけカルシウムを口から摂っても、吸収されなければ骨には届きません。
そこで重要になるのが、
- ビタミンD:カルシウムの吸収を助ける(日光を浴びることで体内で作られます)
- マグネシウム:カルシウムとバランスを取る役割(海藻や玄米に多く含まれます)
- 運動:骨に適度な刺激を与えることで、「骨を作るスイッチ」が入ります
これらがうまく組み合わさってこそ、「摂ったカルシウムが、しっかり骨に届く」状態になるのです。
カルシウムを含むおすすめ食品
「何を食べたらいいの?」という方のために、身近な食品をいくつかご紹介します。
- 小魚(ししゃも、いりこ、ちりめんじゃこ など)
- チーズやヨーグルトなどの乳製品
- 豆腐や納豆などの大豆製品
- 小松菜、チンゲンサイ、青梗菜などの葉物野菜
どれも、ふだんの食卓に取り入れやすい食材ばかりです。
そして大切なのは、「これだけを食べればOK!」ではなく、いろんな食材をバランスよく食べること。
ビタミンDは、魚やキノコ類にも含まれていますし、日光浴(10~15分でもOK)で体内でも作られます。
特別な健康食品や高価なサプリに頼らなくても、ちょっとした意識と習慣で、骨の健康はじゅうぶん守れるのです。
骨粗鬆症の本当の怖さは「転倒による骨折」
骨粗鬆症が進んでいても、ふだんの生活ではほとんど自覚がない方が多いものです。
ところが、ある日ちょっと転んだだけで、
「手首が折れてしまった」
「股関節を骨折して入院になった」
そんなことが実際に起きてしまうのが、この病気の怖いところです。
特に股関節の骨折は、人工関節の手術が必要になるケースも少なくありません。
だからこそ、「転ばない体」をつくっておくことが、何よりも大切です。
転ばないためには、足がちゃんと上がること!
「段差のないところでよくつまずくようになった…」
「背中が丸くなってきたかも…」
そんな変化を感じている方は、ちょっと注意が必要です。
段差もないのにつまずいてしまうのは、身体が前かがみの姿勢になっていて、足がうまく上がらなくなっていることが原因のひとつです。
人は前傾姿勢になると、太ももをしっかり上げる動きが難しくなります。
すると、ほんのちょっとした段差でも足が引っかかり、転んでしまいやすくなるのです。
足が上がらない、つまずくのは、決して筋力の問題だけではありません。
実は、「体のバランス」「姿勢」が崩れているサインでもあるのです。
整体でできること
整体では、こうした「体のバランスの乱れ」を整えることで、転びにくい体づくりをサポートします。
筋力があるかどうかよりも、まず大切なのは、体の軸がしっかり安定しているかどうかです。
軸が安定すれば、自然と足がスムーズに出るようになり、無理なく歩けます。
当院では、お一人おひとりの状態に合わせた施術で、
「最近つまずきやすくなってきた」
「歩くのが少し不安になってきた」
という方に、丁寧に対応させていただいています。
まとめ
カルシウムは、もちろん骨を丈夫にするために欠かせない栄養素です。
でも、「ただ取ればいい」というものではありません。
- 食事からバランスよく取り入れること
- 骨にしっかり届く体の環境を整えること
- そして何より、「転ばない体」を保つこと
これが、骨折を防ぐための本当のポイントです。
「最近つまずきやすくなった…」
「背中が丸くなってきた気がする…」
もしこのような体からのサインを感じたら、この下にある無料相談フォームやお電話から、お気軽にご相談ください。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
(監修:鍼灸学士・柔道整復師 桂 寛章)