手のしびれや痛み|肘部管症候群

「手がしびれて、ペンを持つのも辛い
「指先の痛みで、スマホの操作も思うようにできない
「手のしびれで夜中に目が覚めてしまう

こんな悩みを抱えている方は、いらっしゃいませんか?

ペンを持つのが辛いと、仕事や日常生活に支障が出てしまいますし、スマホ操作が難しいとストレスがたまりますよね。また、夜中に目が覚めてしまうと、睡眠の質も下がり目覚めもスッキリしないかと思います。

実はこんな「手のしびれや痛み」で悩んでいる方は、意外に多いのです。そこで今回のブログでは、手のしびれや痛みの原因の一つである「肘部管症候群」について書いてみました。

手のしびれ・痛みはなぜ起こる?

私たちの体は「神経」という電線のようなもので、脳と体の間で情報をやり取りしています。

この神経には主に二つの働きがあります。

  1. 脳から「手や足」を動かせという指令を伝える「運動神経」
  2. 指先などからの触感(硬い・柔らかいなど)を脳に伝える「感覚神経」

この神経が圧迫されたり、引っ張られたりすると、私たちはしびれや痛みを感じるのです。

手のしびれや痛みを引き起こす原因はたくさんありますが、代表的なものを挙げてみます。

  • 頸部椎間板ヘルニア
  • 頸椎症
  • 糖尿病による神経障害
  • 手根管症候群
  • 肘部管症候群

今回は、この中から「肘部管症候群」に焦点を当てて分かりやすくご説明します。

肘からくる手のしびれ・痛みとは?

肘部管症候群は、肘の内側にある「肘部管」という狭い通路で、尺骨神経が圧迫されることで起こります。尺骨神経は、小指と薬指に感覚を伝える大切な神経です。この神経が圧迫されると、手のしびれや痛み、さらには指の動きが悪くなるといった症状が現れます。

肘部管症候群の見分け方

肘部管症候群には、いくつかの特徴的な症状があります。

  1. 小指と薬指のしびれや痛み
  2. 肘を曲げると症状が悪化する
  3. 肘の内側をたたくとビリビリした感覚が指先に走る

これらの症状が見られる場合は、肘部管症候群の可能性があります。

肘部管症候群になりやすい人

肘部管症候群になりやすい人には、以下のような特徴があります。

  • デスクワークで肘をよく机につく人
  • スマホをよく使う人
  • 肘を曲げた姿勢で寝る人
  • 過去に肘を怪我したことがある人

上記に挙げた「肘を机につく」「肘を曲げて寝る」「過去に肘を怪我した」などは、なんとなく「肘に負担をかける」イメージはつくと思います。しかし「なんでスマホが?」と思いますよね。そこで、スマホをよく使う人がなりやすい理由についてご説明します。

スマホの使用と肘部管症候群の関係

スマホの長時間使用が肘部管症候群のリスクを高める主な理由

  1. 不自然な姿勢: スマホを操作する際、多くの人は肘を曲げた状態で長時間同じ姿勢を保ちます。この姿勢が尺骨神経を圧迫し、症状を引き起こす事があります。
  2. 反復動作: スマホでのスワイプやタイピングは、同じ動作を繰り返すことになります。これにより、肘周辺の筋肉や腱に負担がかかり、神経への圧迫を増加させます。
  3. 手首の角度: スマホを持つ際、手首を曲げた状態で使用することが多くあります。この姿勢が、肘から指先にかけての神経に余計な負担をかけることになります。                                          
  4. 大きなスマホの影響: 最近のスマホは大型化しており、特に手が小さい人が片手で操作しようとすると、親指に大きな負担がかかります。これが肘の外側の筋肉に影響を与え、症状を悪化させる原因になります。
  5. 長時間の使用: スマホの使用時間が長くなればなるほど、上記の要因による影響が蓄積され、症状が現れやすくなります。

これらの理由から、スマホの使用習慣を見直すことが肘部管症候群の予防につながります。スマホを利用する際は、適度な休憩や姿勢に気をつけ、可能な限り両手で操作するなどの工夫が大切です。

一般的な治療法

肘部管症候群の治療には、主に以下のようなものがあります。

  1. 安静にして肘を曲げる動作を控える
  2. 消炎鎮痛薬の服用
  3. 肘用のサポーターの着用
  4. 重症の場合は手術

当院の施術:根本から改善を目指す

身体は全体がつながっています。手がしびれる・痛むからといって、手だけを治療しても根本的な解決にはなりません。それは、体のどこかに歪みがあると、その影響が別の場所に現れるからです。

例えば、こんな状況を想像してみてください。

長時間のデスクワークで猫背になりがちAさん。猫背が続くと、肩や首に負担がかかります。その結果、肩や首がこり、その結果「頭痛」の症状が出てきました。

Aさんは「頭痛」の症状を改善しようと、肩や首のマッサージや痛み止めを試しました。確かに一時的には楽になりましたが、根本的な原因である猫背が改善されていないため、しばらくするとまた「頭痛」や「こり」の症状が戻ってきてしまいました。

このように、「マッサージや痛み止め」で一時的に症状を抑えても、身体の歪みが残っていれば、しびれや痛みはまた戻ってきてしまいます。

だからこそ、当院の施術では身体全体のバランスを整えることを大切に考えています。肘部管症候群の場合も同じアプローチをとります。

  1. まず、肘周辺の状態を詳しく確認します。
  2. 次に、肩や首、さらには背中や腰の状態まで広く見ていきます。
  3. そして、身体全体のバランスを整えていくことで、肘への負担を減らしていきます。
  4. 最終的に、神経の圧迫を解消し、しびれや痛みの改善を目指します。

このように、局所的な対処だけでなく、身体全体を見て施術することで、長期的な改善と再発防止を目指しています。

まとめ

手のしびれや痛みは、日常生活に大きな影響を与える辛い症状です。肘部管症候群はその原因の一つですが、決して治らない疾患ではありません。早めに適切な対処をすれば、改善の見込みは十分にあります。

手のしびれや痛みでお悩みの方は、お早めにご相談ください。最後までお読みくださり有難うございました。
                     (監修:鍼灸学士・柔道整復師 桂 寛章)