五十肩と腱板損傷・断裂の見分け方

こんにちは、大阪市旭区の新森桂整体院の桂寛章です。
「肩が痛くて上がらない」
「服を着るのも、髪を洗うのもつらい…」
「もしかしたら、これが五十肩?」
「でも私…60代だけど…」
このように「自分は五十肩なのか?」と疑問に感じたことはありませんか?
実は先日、「肩の痛みと動きにくさ」で来られた方がいました。お話を伺うと、この1年間でなんと4件もの整形外科や整骨院に行かれていました。
ところが、行く先々で「腱板断裂」「腱板損傷」「五十肩」と、それぞれ違う診断を受けたそうです。また肝心の「肩の痛みと動き」も、どこの院でもあまり改善せず、「私の肩は一体何なのでしょう?」「ちゃんと治るのでしょうか?」と心配されていました。
実は、このようなケースは、意外と多いのです。
「五十肩」「腱板損傷」「腱板断裂」は、どれも同じような症状があり、見分け方が難しいのです。
そこで今回は、「五十肩」と「腱板損傷・断裂」の違いについて、分かりやすく解説しましたので、ぜひ最後までお読み下さい。
五十肩とは
「五十肩」という言葉は、テレビや雑誌などでよく耳にすると思います。
簡単に言えば、「肩が痛くて、腕が上がらなくなる」状態のことです。
名前の通り50代の方に多い疾患ですが、40代で発症する方もいれば、60代以降でなる方もいます。年齢はあくまで目安とお考えください。
五十肩の多くは、特別なきっかけがなく発症します
「何だか最近、肩が動かしづらいな…」
「腕を動かすと痛い時があるな…」
このような感じで、静かに肩の可動域(動く範囲)が狭くなっていきます。
これは、肩の関節を包む袋(関節包)やその周りの組織が炎症を起こして硬くなり、動きが悪くなってしまうからです。
ただし、レントゲンの検査をしても、骨に問題があるわけではないので、異常が見つからないことが多いです。
五十肩では、「痛くて腕が上がらない」「服を着るのもつらい」「髪をとかすのが大変」といった日常の動作が難しくなるほか、夜間にも痛みが出ることがあります。
五十肩の主な原因は、加齢による血流の悪化や、関節を包む袋や周りの組織の老化・炎症と考えられています。
(※五十肩の治し方・施術例を載せたブログはこちらです↓)
五十肩と似た症状の「石灰沈着性腱板炎」
五十肩とよく似た症状を起こすものに「石灰沈着腱板炎」があります。
これは、肩の腱やその周囲に“石灰(カルシウムのかたまり)”がたまってしまう疾患です。
肩に石灰沈着が起こると、急に強い痛みが出て、ほとんど肩や腕が動かせなくなります。
通常、五十肩はレントゲンで異常が見つかりませんが、石灰沈着がある場合は、レントゲン上で白い影として確認できます。
また、痛み方の特徴としては、安静時もズキズキと強く痛むことが多く、夜間痛も強く出る傾向があります。
腱板損傷・断裂とは?
「腱板(けんばん)」という言葉は、あまり聞きなじみがないかもしれませんが、肩の深部にある4つの小さな筋肉と腱の集まりのことを指します。
この腱板は、腕をスムーズに動かしたり、肩の関節を安定させたりするために、とても大切な役割を担っています。
この腱板が傷ついたり、一部または全部が切れてしまうと、「肩の痛み」や「腕が上げにくい」といった症状が現れます。
腱板損傷・断裂の原因
腱板損傷や断裂の原因はさまざまです。
- スポーツや重い荷物を持ち上げるなど、肩をよく使う方
- 転倒や衝突などのケガ
- 加齢によって腱が弱くなり、日常の動きでも傷つくことがある
特に40代以降では、加齢により腱板がすり減りやすくなり、60代以上では発症リスクがさらに玉まります。
損傷と断裂の違い
「損傷」と「断裂」は、どちらも腱板が傷ついている状態ですが、違いはその“程度”です。
- 腱板損傷:腱板が部分的に傷ついた状態。ちょっとした炎症や小さな切れ目がある場合も含まれます。
- 腱板断裂:腱板が完全に、あるいは大きく切れてしまった状態。部分断裂(不全断裂)と完全断裂に分けられます。
断裂の程度が大きいほど腕を上げたり、支える力が弱くなり、痛みが強くなります。
腱板損傷・断裂の検査
五十肩では、レントゲンで異常が見つからないことが多いですが、腱板損傷や断裂の場合も同様です。
腱板は筋肉や腱の集まりなので、通常のレントゲンでははっきり映りません。
そのため、レントゲンだけでは損傷や断裂が見逃されることもあります。
腱板損傷や断裂を正確に調べるには、MRI検査が有効です。MRIでは、腱や筋肉の状態がより正確に分かるため、「腱板がどの程度傷ついているか」「断裂があるか」などが明確に分かります。
五十肩と腱板損傷・断裂の違い
比較項目 |
五十肩(肩関節周囲炎) |
腱板損傷・腱板断裂 |
原因 |
はっきりしない(加齢によるものが多い) |
加齢・使いすぎ・外傷などで腱が傷つく・切れる |
痛みの出方 |
動かさなくても痛いことが多い(特に夜間痛が強い) |
動かしたときに痛みが出やすい(特定の動きで痛みが強い) |
動きの制限 |
全方向で動かしにくい(腕をどの方向にも上げにくい) |
特定の動き(横に上げる・外に回すなど)で制限されやすい |
力の入り方 |
基本的に力は入る |
腕を上げるときに力が入りにくい、ストンと腕が落ちることも |
音や引っかかり |
あまり感じないことが多い |
動かすと「コリコリ」「ゴリッ」と音や引っかかりを感じる |
検査 |
画像検査では異常が出にくい |
MRIやエコーで腱の損傷や断裂が分かる |
経過 |
時間とともに自然に改善することも多い |
放置すると悪化する場合がある(自然治癒しにくい) |
まとめ
肩が痛かったり、動きが悪くなると、日常生活で大きなストレスになりますよね。
「五十肩」と「腱板損傷・断裂」は、症状がとてもよく似ているため、自分で見分けるのは難しい場合もあります。
五十肩は、肩全体が固くなり、どの方向にも動かしにくくなるのが特徴です。
一方、腱板損傷・断裂は、特定の動きで強い痛みが出たり、腕に力が入りにくくなったり、動かすと引っかかるような違和感が出ることが多いです。
どちらの場合も、無理をせず、早めに対応することが大切です。
「いろいろ試してもなかなか良くならない」「自分の肩の状態がよく分からない」とお悩みの方は、無料のメール相談やお電話でお気軽にご相談ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
(監修:鍼灸学士・柔道整復師 桂 寛章)